パパリモ「ブラック組織に勤めてるんだが、もうぼくは限界かもしれない」


解説:
新生FF14(ネトゲ)の二次創作小説
メインストーリーに登場する、「暁の血盟」という組織のNPCたちを弄ったSS。
http://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/3336181/blog/225094/

――――――――――――――――――――
目次:
1.
2.
3.
エピローグ

――――――――――――――――――――
1.

(とある古ぼけた手記の一部を抜粋)


○月×日

今日、暁の血盟に新しいメンバーがやってきた。

ララフェルの剣術士で、名前は*****(かすれて読めない)というらしい

どうやら冒険者ギルド出身らしく、実力は確かだといってサンクレッドが連れてきた。

冒険者といってもピンからキリまでいるし、まだあまり信頼しないほうがいいと思う。

でも第7霊災でルイゾワ様を欠いてからというもの、暁ではあまりいいニュースはなかったので

みんな嬉しそうなのがなによりだ。

プレーンのボクとしては、どうにもデューンとは気が合わないほうなので、うまくやれるか心配だ。



△月□日

黒衣森でのエーテル活動調査の任務を終えて、久々に砂の家へ帰る。

なにやら皆が騒がしいので話を聞いてみると、サンクレッドが興奮した様子で教えてくれた。

なんと例の新入りが、東ザナラーンに召喚された蛮神イフリートを、その場で倒してしまったそうだ。

蛮神召喚なんて、そんな報告はまったく聞いていない。

どうも急な話で、ドタバタして連絡が行き届かなかった、とミンフィリアがあとで謝罪してきた。

女学生みたく四六時中リンクパールをいじくりまわしている彼女のセリフとは思えない。

先に本部へ帰っていたイダは、新入りと手をとりあってはしゃいでいた。なんだかモヤモヤする。



☆月◎日

サンクレッドの様子がどうもおかしい。

最近、ウルダハ周辺の情勢やエーテル調査とは別に、アシエンについても情報を集めており、

立て続けの激務でひどく疲れているみたいだ。

……どうやらミンフィリアとも、ここのところご無沙汰のようだし……。

まあ、彼はイダには興味ないそうなので心配はないが。

いわく「あの仮面のセンスは趣味じゃない」のだそうだ。正直、そこには同意しかねない。



×月×日

言葉が力になり、ばく大な熱量が中空に突如として生まれる。

寄り添って抱き合い、泣き叫ぶ難民たち。その頭上に巨大な炎の塊が浮かび、熱風が吹きつける。

おびえる難民たちの中の、1人のヒューランの少女と目が合う。恐怖と絶望で、潤んだ瞳。

ボクは何も感じない。心を殺しているから。何も感じてはいけない。

杖を振り下ろす。次の瞬間、巨大な火柱が、難民達を包む。悲鳴さえ上がる間もなく。

数秒後には、彼らのいた場所に一山の灰が残っている。

お馴染みの不快な臭いがたち込め、少し眉をしかめる。


テンパードと化した一般人の処理。

こうしておくと、再びイフリートを呼ぶ確率を減らせるのだ。

蛮神が降りるたび、規模の大小にかかわらず、これをやらなければいけない。


この事後処理のことを知っているのは、ミンフィリアやサンクレッドを含む、暁のごく数人だけだ。

イダは知らない。彼女は感情的だから、知ればきっとすぐに壊れてしまうだろう。

ボクはもう何も感じない。



▲月●日

砂の家に入ろうとしたら、受付から話し声が聞こえた。

特に理由はないけど、なんとなく入るのをためらって、中を覗いてみたら

タタルが顔を赤くしてもじもじしながら、あの新入りと話していた。ビッチめ。



×月◯日

サンクレッドが行方不明になる。

アシエンについての情報を、ウルダハで秘密裏に集めていたはずだ。

リンクパールにも応答しない。会議室にいる皆は、それをきいて沈痛な面持ちで俯いている。

でもボクは確かに見た。あの新入りのほうをみたとき、確かに一瞬、ニヤッと笑ったのを。

アイツは信頼できない。



◎月△日

会議室の扉の前で、ウリエンジェさんが所在なさげにつっ立って剃り残しを抜いている。

何をしてるんだろ、と思いつつ、扉を開けようとすると、無言で制された。

……中から妙な声が聞こえる……。扉の前で耳を澄ましてみる。


ミンフィリア「

ハァアアアン!!新入りくんイイのおおぉ!! アァアンッ アッアッ ハア"ア"ン!!!

……ッフウ……今日もとってもよかったわ。早く帰ってきて、マジモンをぶち込んで頂戴ね。

そろそろアレンビックじゃ我慢できなくなってきたわ。

早くしてくれないと待ちきれなくてまたリンクパールかけちゃうわよ。じゃあね」


いま真剣に職場を変えようか悩んでいる。



★月◇日

ガーロンド・アイアンワークスからやかましい2人組が暁にやってきた。どうでもいい。

イダが最近冷たい。なにを話しても上の空だ。

そのくせ、口を開いたとおもったら、あの新入りの話をしてばかりいる。腹が立つ。



◇月☆日

ミンフィリアの机の上に陳列された錬金主道具が、だんだん増えている。

マジでいい加減にしろよ…………



■月○日

イダと新入りとで、シルフ族の調査にいくことになる。

ただでさえ緊迫しているグリダニアの情勢で、さらに蛮神ラムウまでも召喚されたら厄介に過ぎる。

勿論それは納得しているつもりだ。でも、あの新入りと組まされる羽目になるなんて。

ミンフィリアにこの任務を言い渡されたとき、明らかにイダは声が上ずっていた。

ボクも、皆の前だから「いいですとも」などと快諾したけど、内心は煮えくり返りそうだった。

シルフの仮宿への道中、イダと新入りはすっかり意気投合している。

ぼくはやや後ろをとぼとぼと歩きながら、それを見ている。

不意にアイツの手が、イダのパンツのスリット部分へ伸びて、なめるようになぞる。イダが小さい悲鳴をあげる。

おちゃらけるアイツ。イダはあきれたように怒ってみせるが、口元は笑っている。

ファイガ打ち込みたい。ファイガ打ち込みたい。ファイガ打ち込みたい。


(手記は続いている)


(ページの先頭へ)

――――――――――――――――――――
2.

△月□日

ウェッジが、タタルの好物を知らないかとたずねてきた。

同族のよしみで、花サボテンの鉢なんかはどうだろうと、教えてやった。

数日後、タタルに話しかけるウェッジを見かけた。

ウェッジは照れ笑いしていたが、タタルのはただの業務用スマイルだというのは傍目にみればよく判る。

世の中には、知らないほうが幸せだということはたくさんある。



△月☆日

会議室に、重苦しい沈黙が流れる。

互いをけん制するようににらみあう、イダとミンフィリア。

見えない火花が、2者の間を飛び交っているのを感じる。


「……で?だから私にどうしろと?」

「彼に粘着的なリンクパール送るのやめてもらえない?明らかに用途が業務の範囲外だと思います」

「必要だと思うからやってるんです報告連絡相談改善、組織として当然でしょ??」

「私が新入りくんに同行してる間だけでも13回は受信してたけどこれ普通に任務に支障が出るレベルだと思わない?気が散ってイフリートのサラミ避け損なったらどうするワケ??」

「あらあら?いっっっっつもろくに任務の内容も覚えないで余計なトラブル起こして手間かけさせてくれるクセに、そういうどーーーでもいいところはずぅいぶん詳しく覚えてるのね?今後はそれを任務のほうに生かしてもう少しまともな報告をできるよう努力して貰いたいもんだわ。それに支障が出たのはアンタと彼のくだらない猥談かナニカでしょ」

「はあぁーーー???会議室に篭ってる人にはわかんないだろうけど現場は流動的だしトラブルが起こって当然だって今更何言ってんの。それになに話そらしてるわけ?うざいからしっっつこい呼び出しリンクパールやめろつってんだよ。テレポ代いくら出させんの。」


ぼくは目だけ動かして会議室を見渡す。

ヤ・シュトラは虚空を見つめて、何かつぶやいている。

大方ラノシアでの問題でも整理してるんだろう。仕事一筋で事なかれ主義の彼女のことだ。

浮遊するギサールの野菜こと、シルフ族のノラクシアくんは、町にきて間もないためか、

人間の早口でまくしたてる言葉はうまく聞き取れない様子で、頭上に?が浮かんでいる。

ちなみに、現在進行形で話題超沸騰中の例の新入りだが、一足先に黒衣森北部で起きている失踪事件の調査に当たっており、この場にはいない。

あ、ウリエンジェさん発見。いたんだ?

いつにも増して空気、てか完全に壁と一体化してて、今の今まで気付きませんでしたよ。

よければぼくも混ぜてもらえませんかね?


「テレポ経費は任務毎に支給してますし繰り返しますがリンクパールの仕様は必 要 範 囲 内だと思ってます。そもそも国家を超えた第3者なんて危うい立場の我々が多少のアドリブ効かせられないでやってけるワケないでしょ?言われなくても判ってるわそんなの。ただアナタのバカさ加減は 想 定 の 範 囲 を 逸 脱 し て ま す ってことが言いたいのよ。判る??体育会系はコレだから困る(苦笑)いつも一緒に組まされてるパパリモが哀れで仕方ないわ」


こっちに振んな。


「…………年甲斐も無く盛ってんじゃねーよ……メス豚ども……」


ボソリと、入り口の扉の隙間からつぶやきが漏れた。

タタルだ。

誰か助けて。



▼月●日

行方不明だと思われていたサングレットが戻ってきた。

ウルダハの奴隷商人を追跡するため、深くに潜入していたそうだ

女物の香水の匂いをプンプンさせて、いったいナニの深くに潜入していたのかな??



△月○日

たまたま任務がなく、仲間の葬儀に付き合った。

帝国軍基地調査の任務中に命を落とした、暁の冒険者の1人の葬儀だ。

当然、暁の血盟という組織は、会議室にいるいつもの面々以外にも、

信頼できる筋で加入した、諜報員や補給などをこなすバックアップクルーがいる。

こうした構成員たちはエオルゼアに散らばり、表向き一般人のように生活をしながら、

秘密裏に情報収集などの任務などに当たっているものもいる。当然、危険も伴う。

葬儀は、亡くなった彼の故郷・アラミゴの風習に従い風葬の体をして行われた。

そこに彼の遺体はなかった。わずかな装具や身の回りの品が並べてあるだけだ。

帝国基地周辺の戦闘で、遺体の回収ができなかったらしい。

遺体や遺品は、アダマ・ランダマの集団墓地にひっそりと埋葬される。名もない墓。

暁の構成員である以上、故郷に骨を埋めるということはまず叶わないし

その血を分けた家族さえ、彼の死が知らされることもない。秘密組織たるゆえだ。

ぼくだって例外ではない。今更シャーレアンの土が恋しいだなんて思わない。

寂しいけど、仲間でひそかに悼むしかできない。

もっとも、寂しいのは、ぼくが亡くなった彼の名前さえ今まで知らなかったことだ。



◎月◇日

蛮神タイタンが、召喚された。

黒渦団からの報告を受け、皆が戦慄する。

静かに、会議室にいるみなの視線が、新入りに集まる。

……彼はゆっくりと頷いた。


新入り、か。救世詩盟時代からも数えれば、ぼくらが活動をはじめてもうかなりの年月が経つ。

加入してから数ヶ月間で彼が成し遂げた数々の功績は、まさに劇的だった。

誰もが疑うことなく、彼は特別な存在だと思い始めていた。……この僕も。


その日夜遅く、双蛇党宛の報告書を書きあげたぼくは、宿へ戻ろうと筆をおいた。

倉庫の前を通るとき、中からかすかな話し声がきこえた。

さすがにもう覗く気はなかった。

声の主がイダでなければ、だ。

あの冒険者とイダが手を取り合い、なにかをささやきあっていた。

彼がいかに優秀だろうと、蛮神に直接対峙するというのは、死に向き合うに他ならない。

ぼくが彼と同じ立場に立っていたら、同じように頷けたろうか?

あんな、一切迷いのない瞳で?

ぼくはそっと踵を返し、宿へ向かった。



×月×日

あいつが、蛮神タイタンを討伐した。

ヤ・シュトラからの報告をうけ、皆は喜びを爆発させた。

ベスパーベイの人達だって、大半はここが秘密組織の本部だなんて知らないのに。まったく。

とはいえ、ぼくも思わず顔をほころばさずにいられない。

タタルは小躍りしながら、祝いの酒の注文をしにいった。そのくらいは許そう。

ぼくもまた、あいつが帰ってきたら、祝杯を交わしたいと

(……手記はここで途切れている)


(ページの先頭へ)

――――――――――――――――――――
3.

□月☆日

皆、鎮痛な面持ちでうつむいている。

冒険者の彼の活躍によって、ぼくらは帝国基地カストルム・セントリから脱出した。

だが、アルテマウェポンという未知の超戦力……、そして変わり果てたサンクレッド…………。


襲撃で失った仲間たちの葬儀を簡単に済ませ、ぼくたちは会議室へ集まった。

ミンフィリアの代わりに、引き続きアルフィノが代表代理として就くことになった。

彼女は長きの監禁と尋問でひどく憔悴しているが、気丈にもこの場にいる。

他の皆とて同様だ。様々なものを抱え、静かに耐えているのだ。

「悲観している時間はない」アルフィノは言う……そうだ、ぼくたちは動かなければいけない。

マーチ・オブ・アルコンズ……。

帝国との全面戦争が再び始まる。

各国との連携、帝国の動向の調査……やることは山積みだ。

それに……。





シド「

チュリーーーーーーーーーッスwwwww

遅刻しちゃいましたwwwww

てへぺろwwwwwwメンゴメンゴwwwwww

みなさんおひさッス!wwwww

お初の人はお初wwwwww

ガーロンド・アイアンワークス代表のwwwシドッスwww

シクヨロwwwwww

こっちのタマネギみたいなのが社員のビッグスwwww

白菜がウェッジねwwwww

えっ知りあい?wwwwwwwもう知ってた?wwwwwww

俺だけ仲間はずれWWWWWWWWwwww

ぅけるンですけどWWWWWWwww」


ウェッジ「……名前、逆ッス……」


シド「

こまけぇーーこたぁーーいいんだよ!!!!!wwwwwwww

つかなんスか?wwwwwなんか暗くないスか?wwwwww

テンションアゲ↑てきましょうよ?皆さんwwwwwwwww

これから最終決戦スよwwwwマーチオブアルコン?wwwだっけ?wwww

テンションアゲ↑てきましょうよ?wwwwwwコポォwwwww

ネーミングテラ中2wwwwwwwwww

マヂぅけるWWWWWwwwwwww

つかミンフィリアさんwwwいい加減年考えて腹巻きとかしたらどうスかWWWWWwwww

ヤシュトラさん目こわいんスけどwwwwwww

こっち見んなwwwwwwwwww

あとおまえ名前なんだっけwwwwwウリなんとかwwwww元気してたかwwwwww

イダ姐さんもおひさッスwwww相変わらずそのマスクくそダッセぇっスねwwwwwwww

ちょっwwwwwwww痛っwww痛ぇっwwwww姐さんタンマwwwwwwwwww

ローキックで的確に機動力を削ぐのタンマwwwwwwwwwwwwww

ヘヴィやべぇwwwwwwwwww攻撃避けれねぇwwwwwwwwwwww

エスナwwwwwwwwwwwwwwwwww

ウリなんとかエスナはよWWWWWWwwwwwwwwwwwww」


クッソうざいのが来た



▽月▽日

ウリエンジェさんがトイレの個室で泣いていた……。


ウリエンジェ「あのホモ野郎……!あのホモ野郎……ッ!!!」


帝国による監禁の最中、彼は帝国兵に、何か大事なモノを奪われたようだ……。



■月■日

冒険者の彼に全てを告白した。

帝国による監禁中、ぼくは彼が裏切り者ではないのかとおもっていた。

やがてその疑念は、苦痛の中で確信へと変わっていった。

あの絶望的な獄中を、彼への憎しみを噛み締めて生き抜いた。

なんて間抜けだったんだ。なんておろかだったんだ。

サンクレッドの異変を、何も気付いてやれやしなかったぼくが……。


彼は肩を叩き、微笑んで赦してくれた。

ぼくは、静かに涙を流した。



そして、彼に最後の計画について打ち明けた。



△月△日

最終決戦に向けた激務の合間合間、アルフィノが冒険者の彼の後頭部に、

獲物を狙う野獣のような熱い視線を注いでいることに気付いた……。

彼が「そう」なのは、前から暁では暗黙の了解ではあったが

ぼくらが不在の間にいったいどんな冒険を繰り広げていたのか

……なんか最近こういうの多くないか……?



■月■日


――決戦前夜。


ぼくは自室で眠らずに、何をするともなく座っていた。

部屋のドアをノックする音。


イダだった。


「サンクレッドと戦うという話は本当なの?」


彼女は切り出した。あの冒険者から聞いたのだろう。ぼくは答えない。

でも、そうだ。ぼくがこの手でサンクレッドを助け出す。

そう冒険者の彼に申し出たのだ。


アシエンの闇のクリスタルを破壊すれば、サンクレッドは正気を取り戻すかもしれないという。

では……、もし破壊することができなければ……?

そのとき手を汚すのは、冒険者の彼であってはならない。

それだけは、彼の仕事であってはいけない。

これは、救世詩盟時代から彼と付き合いのあるぼくらの不始末だ。

そして暁の闇は、ぼくが背負わなければならない。誓ったんだ。

たとえ命を落とすことになっても……。


「全部聞いたんだ。いままでパパリモの背負ってきたもののこと……」


ぼくは内心で戦慄する。それでもぼくは何も答えない……。


彼女の腕が、しなやかにぼくの頭を、後ろから優しく包み込む。

伝わってくる彼女の体温。甘い香り。


「1人で、ずっと抱え込んでたんだね。

ゴメンね、気付いてあげられなくて。

いいえ、きっと気付かないふりをし続けてた……。

パパリモがその裏側で、暗い部分をずっと全部背負ってくれてたのに。

後ろめたい事なんて無いんだって、勝手に言い聞かせて、思い込んでたんだ。

ワタシ達が正義の味方だって、調子に乗ってたんだ。これまでずっと……。

ゴメンね。気付いてあげられなくて。ゴメンね……。」


イダ……。

ぼくは……。


彼女はぼくと向き合って、静かにマスクをはずした。細い金色の髪が彼女の肩に落ちる。

目と目が遭う。潤んだ瞳がこちらを覗き込んでいる。逸らすことが出来ない。


イダ………………。


彼女はおもむろに胸元のボタンに指をかけ、ゆっくりとはずしていく。

そして……


(ページの先頭へ)

――――――――――――――――――――
エピローグ

彼女はぼくと向き合って、静かにマスクをはずした。細い金色の髪が彼女の肩に落ちる。

目と目が遭う。潤んだ瞳がこちらを覗き込んでいる。逸らすことが出来ない。


イダ………………。


彼女はおもむろに胸元のボタンに指をかけ、ゆっくりとはずしていく。

そして……




 * * * * * *




イダ「『……そして、イダはそのホウ?なムネを……?わにして』……んもー!ムズカしいよ!」


ミンフィリア「………………………………。もういいわ、イダ……。
で、パパリモ…………?
この手記はイッタイなんなのか、説明して頂戴…………?」


パパリモ「あのー、その前にちょっといいかなっ!このロープゆるめてもらいたいんだけど!」


ミンフィリア「あら?ちょっと締めつけがたりなかったかし……らっっ!!!!!!!!」


パパリモ「痛い痛い痛い痛い痛い痛いwwwww
めっちゃ食い込んでんスけどwwwwたすけてwwww」


サンクレッド「もちろんほどいてやるさ……。無事弁明をし終えられたらな……?」


ヤ・シュトラ「今回はちょっとおいたが過ぎたようね……わたしは別にどうでもいいんだけど」


パパリモ「ちょっとまって!きみたちは大きな勘違いをしてる!!
別にね、これはみなをバカにするために書いたわけじゃないんですよ!?」


ミンフィリア「嘘つけオラァッ!じゃあ何なのこのお下品な描写は!?でっちあげも甚だしいわ!!」


パパリモ「やだなぁ、もちろんそれはあくまでお話ですから、ね?
ホラーぼくたち、実際アルテマウェポンとか帝国とか倒して、エオルゼア救ったわけじゃないですか!
でも暁って秘密組織ですし、その辺知ってる人って、グラカンの上の一部の人だけっていうか
ほぼ身内ネタみたいなもの、っていうか…………これって実際ひどくない!?
もっとこう……英雄と崇め奉られてしかるべきじゃないですか!?」


イダ「ウワー……最低……」


パパリモ「や め て !wwwそんな目でみないで!!www」


アルフィノ「…………。で……、それとこの酷い手記と、何の関係があるんだ」


パパリモ「だーかーら!そこでぼくがこれを書いて世間の皆様に読んで知ってもらうことで
暁という組織がエオルゼアを救ったという伝説が伝説たらしめられるわけじゃないですか!」


ウリエンジェ「(えっこれ公表する気だったの……?あんまりだ……あんまりだ……)」


パパリモ「でほら!淡々と事実の記録だけ書いてたんじゃ、読む側は興味なくすじゃん!?
だから、ちゃんと物語としてね、登場人物に愛憎があって、笑いあり、涙あり、
ハードボイルド、そしてエロス!これですよ。
そうしてはじめて読んだ人の心に残るわけじゃない?ワカル??
そう、エンターテイメントなんですよ!!!
大事なのはマーケティングとして成功するかどうかなんだよ?ワカル??」


シド「さっぱり判らん」


パパリモ「ウッセェーーーー!!!!ポッと出は黙ってろ!!!
こちとら第7霊災からずっと暁としてこつこつ働いてきてんだよ!!!
一仕事終えたあとにちょっといい思いするくらいイイだろうが!!!
夢の印税生活は目の前だってのによお!!!!!!
あ痛いっっwwwやめwww物理攻撃にうったえないで!!www」


サンクレッド「ちなみにおまえにそそのかされて出版を試みていたウルダハの商人は
小金を握らせたあと少しキツめに凄んでおいたから、これが日の目をみることはもうないよ」


パパリモ「てめぇwwwwよけいな仕事ばっかきっちり済ませてんじゃねえェーー!!wwww」


タタル「……皆さん、お取り込み中のところスイマセン。戦勝祝賀会の準備が出来ましたよ~。
そこのゲスは捨て置いて、みんなで楽しみましょうよー?ね」


アルフィノ「それもそうだな」


ミンフィリア「いきましょうか!!」


イダ「イェーーーイ!!飲むぞ飲むぞぉーーーー!!」


サンクレッド「俺は病み上がりみたいなもんだから茶にしておくよ」


タタル「ご安心を!ちゃんとご用意してますよ!」


シド「お前のせいでなぜかとばっちりで殴られたんだぞ……しっかりそこで反省しろよ……」


ウリエンジェ「(あんまりだ……俺のセリフ、よりによってあれだけ……?)」


ヤ・シュトラ「(私一言もしゃべってないけど。どうでもいいけど。)」


(ゾロゾロ……バタン!)


パパリモ「ちょっとーーーーー!!!

みんなーーーーー!おいてかないでーーー!!

イダーーた す け てーーーーーー!!!

ごめんなさい許してください!なんでもしますから!!!!


イダーーーーみんなーーーー!!


誰かーーーーーくらいよーーーさむいよーーーーー


長い付き合いだろーーーーーおおめに見てくれよーーーーー


反省してますって!!わかった!!出版はあきらめる!!!!


だからせめて暁の新人にむけた教本としてだね・・・・誰かーーーーーーーーー


イダああああああああアアアアアアアアアアア」



(ガチャッ……)



パパリモ「イダぁあーー!!キミなら戻ってきてくれると信じてたよ!

さあ縄をほど……えっ…………誰…………?」


????「個人的にはキミの話、そこそこ楽しませてもらったよ」


パパリモ「なんだ冒険者くんか!よかったキミでもいいや!はやくほどいて!」


????「ま、俺については基本悪いことは書かれてなかったからね。」


パパリモ「だろ!実際キミが主人公みたいなところあるし!!」


????「……ただ、どうしても見すごせないところもあってね」


パパリモ「えっ……?」


????「作中では俺がまるで女なら何でもいい好色みたいに書かれてるが、これは心外だったな……」


パパリモ「えっ……?」


????「この際だから教えてあげるけどね……」


パパリモ「えっ……?」










????「俺は、キミみたいなララフェルの男のコ専門なんダ♂(肩ポン)」








パパリモ「 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」










(ページの先頭へ)

DotOcean
blog『DotOcean』


ご感想・ご意見等はこちら